読書のかけら

個人的な読書備忘録。あらすじ(Bookデーターより)と少し感想を書いてます。

「鷺と雪」北村薫著

昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」ほか、華族主人の失踪の謎を解く「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探る「獅子と地下鉄」の三篇を収録した、昭和初期の上流階級を描くミステリ“ベッキーさん”シリーズ最終巻。第141回直木賞受賞作。

【感想】

はじめての北村薫の本。

昭和初期の上流階級を舞台に、日常の謎を華族の令嬢英子が運転手別宮みちこ(ベッキーさん)の知恵をかりて解決し成長するミステリー。

著者が当時の文学や古典芸能に詳しいことが格調を高め、上品なユーモアと語彙豊かな美しい文章が素晴らしい。

 

タイトルでもあり最終話でもある「鷺と雪」のラストがとても印象的だった。能、鷺、雪、226事件、戦争へと向かう時代の不穏を静かに悲しく描く。

シリーズ読んでみたくなった。

 

 

鷺と雪 (文春文庫)