「サラバ!」上下巻 西加奈子著
一家離散。親友の意外な行動。恋人の裏切り。自我の完全崩壊。
ひとりの男の人生は、やがて誰も見たことのない急カーブを描いて、地に堕ちていく。
絶望のただ中で、宙吊りにされた男は、衝き動かされるように彼の地へ飛んだ。
第152回直木賞受賞作
【感想】
上下巻を一気に読んだ、ぐいぐいと読ませるスケールが大きな力強い作品。著者のバックグラウンドでもあるイラン、エジプト、大阪、東京を舞台に家族、友情、宗教に翻弄され生きてきた主人公が最後に自らの信じるものを見いだす物語。
「信じるとは?生き続ける意味とは?」がテーマであると思えた。後半、主人公の姉が語る「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」が心に残る。